倒壊とはどんな状態?新耐震基準の建物でも大地震では危険?

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倒壊とは倒れてつぶれてしまうことですが、建物の倒壊を防ぐ取り組みとして1981年に耐震基準が改定され新耐震基準が定められています。新耐震基準は地震による建物の倒壊を防ぐ以外にも建物内にいる人の安全確保に主眼が置かれて定められました。旧耐震基準は震度5程度に耐えることができる住宅という規定でしたが、新耐震基準では震度6強以上の地震でも倒壊しない住宅という規定に変わりました。

 

 

 耐震性能住宅の盲点とは?

 従来の耐震補強は旧耐震基準の住宅を中心として実施されてきました。さらに新耐震基準の住宅は現行基準に適合していることから安心できるものと考えられていましたが、2016年4月に発生した熊本地震で新耐震基準の住宅に倒壊が見られました。震度7の地震が2回観測された熊本県益城町では、新耐震基準に沿って建てられたはずの住宅の被害が深刻で、盛り土の造成地や川沿いの地域では地盤の変状で多数の住宅が倒壊しました。

本震で一気に被害が拡大

 前震で一部の地域に大きな被害、そして本震でさらに深刻な事態をもたらすことになったのです。前震では問題なかったのに本震で一気に倒壊した建物や、前震の被害だけなら修理できたのに本震によって修理不可となったという建物もあったようで、町の様子も前震後と本震後では一変してしまったようです。前震に耐えることが住宅でも本震によって受けた損害が大きく、新耐震基準導入以降に建てられた住宅でも倒壊や大破が目立ちました。新耐震基準は建物を設計する際に、震度5強程度の中規模地震動ではほとんど損傷せず、震度6強から7程度の大規模地震動でも倒壊・崩壊しない性能で検証することが求められているはずなのに倒壊してしまったのです。

新耐震基準でも安心できないのか

 今回の熊本地震ではたくさんの建物が倒壊しましたが、その中には新耐震基準の建物が多く見られるなど本来であれば倒壊に耐えられたはずの建物でさえ倒壊してしまった状況です。さらには2016年8月31日、震度5弱の地震が熊本市西区と宇城市で観測され、熊本城の立ち入り禁止区域にある奉行丸東側の塀が倒壊していたことも確認されています。

地震に対する備えはどうすれば良いのか?

 耐震基準はあくまでも知見と技術のレベルに基づいて定められた最低ラインにすぎないということを理解しましょう。地震は複雑に発生する自然現象のため、新耐震基準をクリアしているから絶対に安全ということではありません。万が一倒壊した時のためにも地震保険などで備えをしておくことも必要です。さらに地震が起きる可能性が高い地域の場合、高い耐震性能を確保するなど補強と備えを強化しなければ倒壊する可能性が高いと言えるでしょう。

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