耐震基準を満たしていれば地震が起きても本当に安全?

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2016年4月、観測史上初めて震度7という激しい揺れを2度経験し、余震の回数は700回を超えた熊本地震。

大規模災害が発生した場合には、小学校や中学校などが地域住民の避難場所になることは多いですが、熊本地震ではその避難場所で耐震補強したばかりの小・中学校が損傷しました。

日本の耐震基準とは

現在の日本の耐震基準は、1978年6月に発生した宮城県沖地震がマグニチュード7.4だったことから1981年に改正されています。

建築基準法に基づいた新耐震基準では、震度5強の地震が起きてもほとんど損傷せず震度6強~7の巨大地震の場合でも倒壊・崩壊の危険性がないという目安になっています。

耐震基準の数値とは

地震に対して建物の強度がどのくらいかを測る数値には、「IS(アイエス)値」と「地震地域係数」があります。

地震に対しての建物の強度、変形能力、粘り強さなどを示す構造耐震指標を示すのがIS値です。

建物自体の耐震の判定指標となるもので、耐震性を高めるために改築や改修を行う際に用いられています。

IS値の基準値

IS値は0.6が基準となっており、震度6~7を想定しています。

そのためIS値が0.6以上の場合は倒壊や崩壊の危険性が低い建物、0.3以上0.6未満の場合には倒壊もしくは崩壊する危険性がある建物、0.3未満の場合には倒壊または崩壊する危険性が高い建物ということになります。

熊本地震で損傷を受けた学校は?

防災拠点となる小学校や中学校は、文部科学省が0.7という基準値を設けて整備しているそうですが、今回の熊本地震で損傷があった学校もその基準を満たしているそうです。

熊本県にある公立小・中学校で耐震補強を行っている学校は耐震化率でほぼ100%ということですが、それにもかかわらず被害の大きかった熊本市内だけで小学校16校、中学校8校で破損が見つかっています。

しかも一部は危険と判断して閉鎖し、校舎の壁や床などに亀裂が見つかったので別の避難所に移ったというケースもありました。

国交省では震度7の地震でひび割れなどがあったけれど倒壊や崩壊はしていないのでIS値に問題はなかったと説明されています。

耐震基準を満たしていれば本当に安全?

現在新築されている家やマンションなども新耐震基準に沿ったものとなっており、古い建物なども耐震補強などで強化して万が一地震が発生した時に備えている人も多いでしょう。

しかし実際本当に大地震が発生した場合、避難場所でありIS値も高く安心できる場所である小学校や中学校でも破損が見られたということは家やマンションは本当に大丈夫なのかと不安になるかもしれません。

自分の家は新耐震基準の建物だから大丈夫と安心せず、もしも家が倒壊や崩壊してしまった場合の備えを確保しておくことは大切なことだと言えます。

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