認知症の人が起こした列車事故も補償される損害賠償保険とは

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損害保険の中でも「個人賠償責任保険」は、誤って人にケガを負わせてしまった時や物を壊してしまった時などの損害賠償責任に備える保険です。
この補償の中に、認知症の人が起こした事故で家族が高額の賠償責任を負うことになった損害賠償責任も含まれることをご存知でしょうか?

今後認知症患者は増加していく
近年では認知症患者数は増える一方で、2015年には65歳以上の高齢者のうち、5人に1人の割合で罹患するとも考えられています。
徘徊して事故に巻き込まれるケース、線路に立ち入り電車を止める事故を起こすケースなど、いずれも家族が多額の損害賠償請求を受けてしまうことになるでしょう。
このような環境変化に対応し、保険のニーズにこたえるためにこれまでの個人賠償責任保険では補償されなかった「財物損壊を伴わない電車の運行不能等による賠償責任」までカバーする特約が新たに開発されています。

個人賠償責任保険の補償内容とは
従来の個人賠償責任保険でも、自転車で走行中やマンションのベランダの鉢植えが落下したことで通行人にケガを負わせてしまったケース、集合住宅で水漏れ事故を起こして階下の人に迷惑をかけたケースなど、様々なケースに対応できるようになっています。
ただし人の体や物に対する損害を伴う損害賠償への補償なので、例えば認知症の人が線路に立ち入り列車運行に支障をきたす損害などは、車両に物理的な損壊がないのなら補償されません。
そのため今回、一部の保険会社では誤って線路に立入り列車を止めた損害も補償するように改定されました。

なぜ補償内容が改定に?
改定のきっかけとなったのは認知症の男性が線路に立ち入り列車にはねられて亡くなった2007年に発生した事故です。
監督義務者である妻と別居の長男に対して、JRは運行遅延の損害賠償金約720万円を請求しました。
結果として最高裁でこの請求は棄却されましたが、どのようなケースで賠償責任を免れることができるかが不明なままでリスクが浮き彫りになりました。

家族が安心して生活できるように
少子高齢化に伴って、総人口に占める65歳以上の高齢者の割合は既に3割近くまで達しています。この割合は今後も上昇することが見込まれていますので、補償範囲を広くする賠償責任保険がニーズとして高まっていると言えるでしょう。
また、従来の個人賠償責任保険で補償されるのは契約時に決めた「記名被保険者」、そしてその同居の親族と別居の未婚の子です。
そこで保険会社によっては被保険者の範囲を拡大し、事故を起こした被保険者が重度の認知症などの責任無能力である場合には、監督義務を負う別居の家族についても補償対象に加えるといった改定がされています。

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