賃貸住宅を借りた借家人はどのような法的義務を負う?

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賃貸借契約で物件を使用する代わりに賃料を支払う人を「賃借人」や「借主」、「借家人」といいます。契約を締結することで物件を使用する権利を得ることになりますが、その反面で法的義務を負うことにもなります。
賃貸借契約での借家人の基本的義務は、家賃を支払う義務、そして目的物の善管注意義務や用法遵守義務などがあります。

家賃として賃料を支払う義務
賃貸借契約において、借家人は家主に家賃として賃料を支払う義務が発生します。法律上では後払いが原則なのですが、当事者間の特約で先払いにすることが可能なため、一般的な不動産賃貸借では先払いになっています。
不動産賃貸借のトラブルで最も多いトラブルがこの賃料に関するトラブルで、滞納によるトラブルが一般的です。しかし他にも、借地借家法で借家人や家主に賃料の増額や減額を請求することを可能とする旨が定められており、それによるトラブルが発生することもあるようです。

善管注意義務
借家人は物件を使用する権利がありますが、借りている物ですので所有者や家主の権利を侵害する態様は認められません。そのため借家人は注意義務をもって管理・保管することが必要になっています。善管注意義務の履行のために、借家人は修繕等の保存行為が可能です。

用法遵守義務
借家人は賃貸借契約や物件の性質に応じた使用方法で使用する義務を負います。使用方法を制限するために契約において使用方法を定められていることが一般的です。例えばピアノなどの楽器類を禁止したり、ペットを飼うことを禁止したりといった定めが該当します。

目的物返還義務
そして賃貸借契約が終了すると、借家人は物件を原状回復して家主に返還する義務を負います。原状回復は家主のためのものですので、仮に当事者間が合意し原状回復が不要と定めがあれば原状回復せずに返還することになるでしょう。
敷金を入れている場合でも、敷金返還請求権と不動産の明渡しは同時履行の関係にありませんので、まず先に物件を返還してから敷金の返還を請求するという流れが原則になります。

定められた義務を守ることが必要
これらはあくまでも基本的な賃貸借契約においての義務ですので、別途特約などで契約内に定めがある場合には特約に従う義務を負うことになるでしょう。
当事者間で敷金を支払うこと、更新料を支払うことなどの取り決めがある場合には、借家人は敷金や更新料を支払う義務を負います。契約に違反した場合や家主に損害を与えた場合には債務不履行責任といった責任を問われることもあるため注意しましょう。
お互いにルールを守ることを約束し、賃貸借契約を締結することになりますので、定められた義務やルールを守ることが必要です。

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